木炭デッサンの意義・その2・稜線の把握編(基礎科)
高校1・2年生対象の基礎科、5月前半の課題は木炭による石膏デッサンでした。
前回の静物デッサンでは、木炭で作れる一番暗い黒から紙の白までのトーンの幅を使い切るところに主眼を置きましたが、今回は「立体感をどう捉えるか」という視点から、形態の持つ稜線に注目してもらいました。
絵を描く時に、対象物の輪郭線を描いて、その中を塗り分けていくというアプローチもあるのですが、それだとどうしても像の持つ量感表現が疎かになりがちです。そこで、石膏像の持つさまざまな面がぶつかってせり出しているところを「稜線」と呼んで、そこで木炭のトーンを変えることで、より正確な立体感、空間感を表現することを目指してみました。
これは、単純に目の前に見えている像の明暗を写すのではなく、立体としての構造感を把握して、それを画面上で再構築するというアプローチでなかなか難易度の高いものです。すぐに身につくものではありません。
しかし、じっくりと時間をかけて描きながら、途中で石膏像を色々な方向から観察したり、自分のデッサンを遠くから客観的に眺めたりしながら、少しずつその感覚を掴んでこれたようでした。
こういった訓練を行うときに、つけやすく取りやすい木炭は、試行錯誤が容易なのでとても有効です。形が間違っていたところが汚れのように残ったりしますが、そこは気にせずに、どんどん直していく。ここで経験した「正しい形をとらえる感覚」が鉛筆や絵具といった他の素材を使うときにも生きてきます。
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