展覧会レポート「地方美術館の取り組み」

いま、地方美術館でも現代アートを積極的に取り上げています。
会期は終わってしまったのですが、先週、観覧した二つの展覧会についてレポートします。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
「丸亀での現在」 In marugame – At the moment – Three Artist Collectives
https://www.mimoca.org/ja/exhibitions/2021/12/18/2369/
参加アーティスト:KOSUGE1-16、Nadegata Instant Party、旅するリサーチ・ラボラトリー

丸亀市は11万人が暮らす香川県第二の都市です。
その丸亀の「現在」に焦点をあて、3組のアートコレクティブが現地でのリサーチをもとに組み上げた展覧会。アーティストたちと丸亀という土地、そこで暮らす人々、動物 etc が関係を築いていくプロセスが、三組三様の切り口でかいま見えました。
アートが絵画や彫刻といった「もの」から、コンセプトや問題提起といった「こと」へ、さらにはさまざまな繋がりの表れとしての「関係性」にシフトしていることを感じた展覧会でした。

高松市美術館
高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.10 ここに境界線はない。/?
https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/museum/takamatsu/event/exhibitions/exhibitions_2021/exhibitions_2021/ex_20220211.html
参加アーティスト:ウチダ リナ、久保 寛子、潘 逸舟、ユアサ エボシ、森 栄喜<ばば まさみ>

アトリエ新松戸出身のウチダリナさんも参加した展覧会。
ウチダさんは、蛾や自身の身体を和紙で造形する従来の作品に加え、自らの出自にまつわるビデオインスタレーションを中心に据えた展示でした。
人生はいつも現在進行形だけど、その流れに直行するように自ら一本の線(まさに境界線)を引こうとする覚悟のようなものを感じました。
他の作家の作品も観て、公式H.P.でも触れられていたが、現代美術の持つ役割の一つとして、日頃意識することの少ない、あるいは気づくことのできない他者や環境との境界線を可視化して、それを飛び越える手がかりを与えるというものがあることを認識しました。

両展覧会とも、目録は会期後に作成され送られてくるとのことです。きっと、ギリギリまで各アーティストとも試行錯誤していたのでしょう。もちろん予約しました。いつ送られてくるのか、楽しみに待っています。


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