先生にとって嬉しいこと
アトリエ新松戸では中学生クラスに新しい生徒たちを迎えています。
彼らの課題はシンプルなモチーフを並べての静物デッサンか、自分の手と何かを組み合わせたデッサンです。
例えばパプリカとレンガとか、ガーベラと風呂の椅子とか、あるいは自分の手と球体といったものがモチーフになります。
ある日のこと、新しい生徒のひとりが課題である“自分の手と紙コップ”を描いていました。
まず準備運動であるクロッキーの段階でしたが、その様子を見ていた担当講師:岩崎が「今これを伝えておこう」と思ったことがあるとみえて、コピー用紙を一枚つかみます。
「なぞり線で全体を描くのではなく、一回のストロークを出来るだけ長く、ひと息で描くようにしてみよう」
このざっくりデモを見た直後の生徒、クロッキーを続けます。
今度は「ワンストローク」を意識するあまり、消す作業が多くなってしまいました。
すると今度は岩﨑「消すことをやめてみよう」と伝えます。
ここで生徒は何かに気づいたようです。
最後には手らしいライン、手らしいポーズの捉え方を学んでくれたようです。
わずか30分間での小さなステップアップですが、このような時は本人よりも教える側の方がそれを実感するもので、とても嬉しい気持ちになります。
実際、岩崎の嬉しそうな報告に、なんだか私まで嬉しくなりました。
ここから次はパースの話だったり、遠近法の話だったり、一つひとつテクニックを学んでいくことになります。
こちらは違うクラスでの岩崎のラフがき。
ともすればテクニックに走りがちになる生徒もいますが、それもまた教えのチャンス。アトリエ新松戸ではマンツーの時間をなるべく見つけ、生徒の個性を大切にしながら「自己表現する上で何が大事なことか」を伝えていきます。