おすすめ展覧会情報(2022.03.02)

Chim↑Pom展:ハッピースプリング

森美術館
https://www.mori.art.museum/jp/
会期 -5月29日(日)

「日本で最もラディカルなアーティスト・コレクティブ(複数のアーティストが協働する形態のことをこう呼ぶそうです)Chim↑Pomの最大の回顧展」(森美術館のホームページより)

Chim↑Pomは広島の原爆記念公園の上空に「ピカ!」の文字を飛行機のスモークで描くプロジェクトを行ったり、東日本大震災の直後、渋谷駅にある岡本太郎作の壁画「明日への神話」の余白部分に、煙をあげる福島第一原発の様子を描いた絵をゲリラ的に設置したりと、一時期「お騒がせ集団」という扱いを受けていたアーティストです。

これらの「事件」を報道で知った時は、自分自身「嫌な」気持ちになったのを覚えています。しかし、2012年のパルコミュージアムでの個展で衝撃を受け、その後は気になるアーティストとしてその活動に目配りをしています。

彼らの作品において、社会の様々な問題を可視化していくなかで、自分たちの生身の体を使うことへの強いこだわりがあるように感じます。まさに「体を張った行為」によって、同じ空気を吸っている人間を巻き込んでいく。そんなところに惹かれているのだと思います。身体性の強さゆへ、たとえそれが映像作品の形であっても、まるで観ている側もそこにいるような気持ちになるのかもしれません。

また、プロジェクトを行なったことによって当事者との軋轢が生まれた時に、それを時間をかけてときほぐしていく過程の記録は、アートの持つ力が社会における関係性の修復や信頼関係の構築に大いに貢献できるのではないかという希望を持つことができました。

今回の展覧会では、作品を年代順に並べるのではなく「都市と公共性」、「道」「Don’t Follow the Window」など様々なセクションに分かれて展示されています。また、重層的で複雑な展示空間によって、様々な読み時が可能になる仕組みが作られています。「身体性」「社会性」といったキーワードで 読み解くのも良いかもしれません。

展覧会会場で図録など、記録になるものを求めましたが、販売していないとのこと。やはり、その場で「同じ空気を吸って」こそ、共感できる作品だと、自分自身納得しました。ぜひ、足を運んで欲しい展覧会です。

展覧会特設サイト
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/chimpom/index.html

Chim↑Pom(公式サイト)
http://chimpom.jp/


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