展覧会レポート「ゲルハルト・リヒター展」

東京国立近代美術館
生誕90年、画業30年。待望の個展
「ゲルハルト・リヒター展」

20-21世紀の美術史に、確実に名前を残すであろう巨匠による、東京の美術館での初個展。大きな期待を持って会場に向かいました。

ゲルハルト・リヒター展

今回の展覧会では、リヒター自身が展示プランを練ったとのこと。
この部屋では、油絵の大作とそのデジタルコピーが対面に、そしてその両方が写り込む鏡がもう一面に展示されているという非常に複雑な視覚体験ができました。

ゲルハルト・リヒター展

見ること、見えるということ、絵画とは、アートとはなんぞや?という終わりのない問いを作者が問い続けていることが伝わってきました。

ゲルハルト・リヒター展

「カラー・チャート」シリーズの作品群。25色(5×5)の正方形のカラーチップ196枚並べることで一つの作品が完結しています。同じ色の並びがひとつもないのではないかと思いました。

ゲルハルト・リヒター展

新聞の死亡記事から写真をピックアップし、リヒター独自のぼかしのテクニックを使って油絵を制作、それをさらに写真撮影して、大きく引き伸ばして展示しています。オリジナルとコピーのあり方についても考えさせられました。

ゲルハルト・リヒター展

最新作のドローイング群。2021年制作のものは89歳の作となります。その強度と精度にはただただ感服するばかりでした。

平日の午後にもかかわらず、会場には多くの観覧者がいました。若者が多かった印象です。熱心に見入っている様子から推測するに、画学生でしょうか。今、この作品群に出会えたことは、きっと将来の糧となるはずです。

今年、必見の展覧会です。

追記
常設展にもリヒター作品がありました。こちらはエッシャーの版画にインスパイアされたものです。リヒターの絵画思索の広さを改めて感じさせられる作品たちでした。これらも含めて、ぜひ常設展も見てほしいと思います。


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