体験型カリキュラムの意義
アトリエ新松戸の2019年度入試結果がほぼ出揃いました。
今年「AO・推薦入試の合格率100%」を達成できたことについては、ここ1,2年の新たな時代の動きに対して対策を早めに講じた結果であったと思います。
新たな時代の動きとは、「難関含む美術大学の学力重視傾向」です。
実技だけ少々優秀でもダメ。
そんな時代です。
また進学校を卒業後、社会人経験を経て復帰したOBの生徒が武蔵美の3年編入試験に合格するなど、こちらが刺激されるようなケースもありました。
喜びも悔しさも力にして、また新たな道へ。
全ての卒業生たちの前途を祝します。
さて、入試結果分析のさなかにも受験部「中学生」「基礎科」授業は平常運転でした。
先日ちょこっとお伝えしたコラグラフの完成作品です。
大手予備校だと高1〜高2でも受験課題をメインにするところが多いですが、アトリエ新松戸では“体験型カリキュラム”も重視しています。
体験型カリキュラムとは、例えばコラグラフやボックスアートなど。
単なる自由制作とも違い、必ず規格や時間という制限を設けます。
これは生徒たちに「自己の発見」や「個性を伸ばすきっかけ」を出来るだけ多く掴んで欲しいからです。
そして制限があるのは講師サイドも同じで、限られた授業の枠で「アカデミックな指導」と「気づきへの誘導」を盛り込みます。
前者は直接的、後者は間接的な導きであり、講師陣はこのバランスをうまく取らねばなりません。
教える側のそんな思惑の中、このコラグラフ制作では「試行錯誤」という言葉がピタリと当てはまる風景が見られました。
凹版の擦り方の工夫、インクの入れ方、印刷時の圧力など、生徒たちが方法を変えながら実験を重ねるのです。
中でも印象的だったのが、生徒たちの協力し合う姿。
コラグラフに使うプレス機は、本来作業台に固定するのですが、アトリエでは固定せずに使います(代表に聞いたところ単純に収納の問題らしいです😥)。
つまり安定性確保のために、「プレス機が動かないようにガッチリ押さえる人」「レバーを回しながら乗せ板を引っぱる人」が必要になります。
今回も自然とペアが組まれました。
最初は作業だけの関係でしたが、次第に、
「この圧力なら擦り方はこうした方がいいかも」
「版に高低差があるからインクはここから流したら?」
と、お互いにアイディアを出し合うようになっていたのです。
アートは個人プレイというイメージが強いかと思いますが、ここはさながら共同研究室のよう。
たった二日間の課題でしたが、設定された(思惑の?)環境をうまく活かしてくれた生徒たち。
頼もしいなと思いました。
こうした作品群は冒頭で触れたAO・推薦入試に対して活かすこともできます。
思い起こせば2018年度も様々な体験型カリキュラムをものにした基礎科。
今年度最後の授業は基本に立ち戻り、デッサンで締めくくりました。
オマケは、「コラグラフで紙を挟むのを忘れフェルトにプリントしてしまった」一枚。
これも実験ということで。