木炭デッサンの意義・その1・明暗法編(基礎科)

高校1・2年生対象の基礎科、今年度最初の課題は木炭による静物デッサンでした。
現在の美術大学入試の実技試験では、木炭デッサンはどちらかというと少数派で、特にデザイン系のコースでは、そのほとんどで鉛筆デッサンが課されています。

しかし、アトリエ新松戸の基礎科では、将来の志望・専攻に関わらず全員に木炭デッサンを体験してもらっています。その理由はいくつかあるのですが、今回の課題では木炭でできる一番暗い色から、木炭紙の白までを使い切るという点を重点的に指導しました。

デッサンは、有彩色の物体に光が当たっている状況を、モノクロームに置き換えていく作業です。その過程で、白から黒までの色調の幅が大きいほど、立体感や空間、質感が表現できるようになります。

木炭は、画面につけやすく、なおかつ指やパンを使って取りやすい素材です。その性質を利用して、まずは黒いところをとことん黒くするところから始めて、中明度のグループ、高明度のグループに分けることを意識しながら、描いていきました。デッサンの基本的な技法の一つである「明暗法」の第一歩です。

ここで、明暗の色幅とグループ分けの意識をしっかりと身につけることによって、鉛筆デッサンに取り組むときも、躊躇せずに暗い部分を作ることができるようになります。まず、明暗の色幅のしっかりとしたデッサンを描き上げるイメージを定着させる。その上で、とても大切な経験を得ることができる課題になったと思います。


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