印象派から色使いを学ぼう!

2017年11月4日

高校1・2年生対象の基礎科では、今週と来週でアクリルガッシュを使った静物着彩に取り組んでいます。

題して「光と影の表現に注目!印象派から色使いを学ぼう!」色彩について色々と学んでもらう課題です。

絵具を使って描くとき、初心者の人は陰や影の表現に、ついつい「黒」を使ってしまいがちです。実際、印象派が出てくる19世紀より前の時代はそれに似た明暗の表現が、油絵においてもおこなわれていました。しかし、産業革命によるチューブ絵具の発明により、状況は一気に変わったのです。

チューブ絵具が発明される前は、画家はその日一日分の絵具をまず、顔料と乾性油を混ぜ合わせてつくるところから作業をはじめなければなりませんでした。顔料とは、ようは色の細かな粉なので、風のふく場所ではそういった作業はできません。自ずと制作場所はアトリエの中に限られていました。しかし持ち運び可能なチューブ絵具を手に入れたことにより、画家たちは薄暗いアトリエの中から、明るい屋外へとその制作の現場を広げていきました。

人間の眼の構造上、暗い場所では色味よりも明暗を強く知覚します。印象派のあの鮮やかな色彩表現は、屋外の豊富な光によってもたらされたものなのです。

こんな話しを一通りしたあとで、実際に制作に取りかかりました。
基礎科制作風景

教室の中にはモネとルノアールの画集をおいて、時々参考にしながら進めています。
モネとルノアールの画集

ただ訓練的にデッサンを学ぶだけではなく、こうやって過去の作例や歴史的事実に触れつつ、様々な知識や技術を積み上げていくことは、知的な好奇心を増し、自分の頭で考える習慣をつける上でとても大切なことです。基礎科では課題ごとにテーマを設けて、この力をつけていくようにしています。

イワサキ