vol.1 相手の持つ技を探り合い奪い合う

2018年2月8日

デザイン・工芸科 夜間部
武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 現役合格
大久保 愛裕さん(松戸国際高等学校出身) 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 再現作品

代表
美術大学への進学を考え始めたのは、いつ頃ですか?

愛裕さん
高校三年生の5月頃です。この時まで希望する進路も進学先もなく、ただ「行けるところに行けたら良いな~」とかなりマイペースに過ごしていました。

代表
どうして美術大学に行こうと思いましたか?また、きっかけになるようなことはありましたか?

愛裕さん
きっかけは、私が好きな絵描きさんが、とある美術大学で学びながら活動していると知ったことです。ただ、それはあくまで私が美大へ進学すると決意するきっかけです。主な理由は、ある時自分は「自分が感じていることを他人に伝えるための表現の術」を知らないことに気が付き、知りたい、学びたいと思ったからです。

愛裕さん
元々幼い頃から絵を描くことは好きで、今まではどんなに下手くそでも他人に見せたり小さなイラストコンテスト等に積極的に出したりするメンタルがあったと自負しています。

愛裕さん
また「美術を“皆”と学ぶ」という行為をすることによって“描き方”や“考え方”などが縛られてしまい自分の感性や自信が失われてしまうだろうと考えていたこともあり、絵描きは「趣味でいいや」と思っていました。

愛裕さん
一方で、実際に他人と触れ合い、作品を見せ合い、お互い相手の持つ技を探り合い奪い合うことも必要なのではないかと思っていたのも事実です。50m走のタイムを計るときに足が速い子と一緒に走るとタイムが伸びる、というような感じで(笑)かなり悩みました。
もし前述の絵描きさんのことが無ければ恐らくこの道には進まなかったと思います。
今の時代、専門的に取り組まずとも私が目指していることは出来る人は出来ちゃいますし、色々と厳しい世界なので…。

代表
入試を意識した実技の勉強はいつ頃始めましたか?

愛裕さん
美術大学への進学を考え始めたと同時で、高校3年生の5月頃です。

代表
予備校に通っていて「楽しかったこと」「つらかったこと」を具体的に教えてください。

愛裕さん
楽しかったことは、先生や仲間達と内容は何であれお喋りができたことです。
また、家とは違い「多少は汚しても良い」という心の余裕がある中で作品が作れたのが良かったです。
あと講評のときですね。その時は良い思いも悪い思いもしてましたが、今考えると自分の作品が必ず、良し悪し問わず評価されるというのはかなり嬉しいですし、他の人の作品の評価を聞くのも楽しかったです。

愛裕さん
つらかったことは自分の好きな絵が描けないことと、納得いかない作品が出来上がってしまうことが多々あったことです。よく見るアニメや漫画系のイラストから美術の世界に入ってしまった為か絵に対する固定概念が強く、カタカナの並ぶ美術展へ行ったり様々なグラフィックデザインを参考にしたりするという行為は当時はかなりキツかったです。何が良いのかさっぱりわからない状態だったので……。
それでも、無理矢理赴いたりなんとなく意識して見てみたりすると後々役に立つことが多かったです。

代表
受験勉強をしている中で「○○によって私は変わった」というようなターニングポイントがあれば教えて下さい。

愛裕さん
ターニングポイントと言えるかはわかりませんが、Twitterでたまたま友人の絵が他人に高く評価されているのを見てしまって、あまりに悔しかったのでやる気になりました。

代表
授業の中で「役に立った」という課題があれば、教えてください。

愛裕さん
単語帳を使って色見本を作る課題です。手間はかかりますがかなり役に立ちます。

代表
試験会場はどんな様子でしたか?また、あなたはどんなことを考えましたか?

愛裕さん
色々な人がいました。老若男女。

代表
合格を決めたときの気持ちを聞かせて下さい。

愛裕さん
色々な気持ちが入り乱れていた中あまりに唐突すぎて今の私が持つ言葉では上手く表せませんが、あえて言葉にするなら「ヤバい」

代表
大学ではどんなことをしていきたいですか。

愛裕さん
知らないことばかりなので、とにかく自分の中に取り入れていきたいです。
特に大きなことをしようとかそういうことは考えていません。
あまりに無知であることに大学に入ってから気づいたので今は色々体験して行きたいです。あと節約術も身に着けたいですね…普段通り過ごすと何もかもが消えていくので(笑)

代表
将来の夢は何ですか?

愛裕さん
一般的に想像されるイラストレーターを目指すべく予備校へ通い大学へ入学しましたが、最近はその夢もぼやけてきました。一体自分は何ができるのか、何がしたいのかわからなくなってしまったんですね。夢というか目標ですが、その“何”を見つけられたら良いなと思っています。

代表
後輩へのメッセージを一言

愛裕さん
きっと他の先輩方が素敵なメッセージを残してると思うので、私は今言いたいことを言おうと思います。
自分に確信や根拠が無い限り、「先輩」の話はきちんと聞いた方が良いです。これは受験など関係なくですが、おじいちゃんおばあちゃん、親や先生、先輩、友人の体験談は大事です。貴重です。私は今までその人達の言うことを3割くらいしかきいていなかったので今かなり苦労してます。少なくとも失敗談を聞かされたら同じ失敗を自分で繰り返さないよう、話し合った方が良いです。既に失敗している方法を何度やっても失敗するだけですから。これは本当に大事です。余計なお世話かも知れませんが、実際言うことをきかないで取り返しのつかないことになってる人間がここにいるので、自分の直感は外れたことがない、自分はきちんと勉学に励んでいるのでそのへんの判断は問題ない、という人は別ですが、なるべく言うことをききましょう。しかし、自分がきちんと納得してから、です。納得せずに言うこと聞け!なんてのはただの押しつけです。どうか同じ過ちを繰り返さないでください!!(笑)

Posted by ateliershinm